トーチソング・エコロジー いくえみ綾

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売れない役者の青年の前に、自分しか認識できない不可思議な少女が現れる。旧知の隣人の女性、突然亡くなった役者の先輩、もういない同級生。現在と過去の他者への思いを巡らす恋愛人間ドラマ。

泣かず飛ばずの役者の青年の住むアパートの部屋のとなりに、かつて高校の同級生だった女性が引っ越してきた。その女性は高校時代に主人公の顔の良い友人に告白し続けていた人物で、主人公と友人は自分たちがホモだといってあきらめさせようとした経緯があった。
そんな彼女と再会した際、主人公には彼女の隣に見知らぬ少女を認識する。彼女の娘かと思ったらその少女は自分以外の人間は認識されておらず、戸惑う主人公。
他者には見えないと思ったら見えたりもしたり存在の設定がおぼろげで不可思議な少女の存在を微妙に絡ませつつ、俳優仲間の女性や隣の女性との交流や主人公のもろもろの心情を描写を中心に主人公の売れない俳優生活が淡々と描かれていく流れ。
不可思議な存在が登場するとその存在がフォーカスされる展開が多い中で、こちらはさほど出張っているかんじがしないなあ。あ、先に出た高校時代の友人は、とうになくなっており、後だしでわかるがその友人はほんとうに主人公に恋愛感情を持っていた模様。自分の感情に素直だった友人に対する微妙な心情描写が印象的でした。
正直、いまのところ話の筋は明確なものの、全体的に茫洋としていてつかみどころがない印象が強いかな。とはいえ興味をそそる内容なんですよね。ゆらゆらとたゆたうこの雰囲気は人生そのものの描写ということなのか。

いくえみ綾
バーズコミックススピカ全3巻 / 幻冬舎
ジャンル:女性・ドラマ / 好み度:★★★★☆