国内の名家の後継者の1人だったがある屋敷の所有権のみを受け継いだ少年モモ。件の屋敷はマガモノと呼ばれる6人が管理をしていた。
主人公は目つきが悪く目の下にクマがある小さな少年。彼は国内でも指折りの名家の後継者の1人。だが彼はある屋敷の所有権以外の権利を放棄し、所有することになった屋敷に赴く。
その屋敷はマガモノと呼ばれる人以外の存在6人が管理しており、街もその存在と共存し観光の目玉にもなっているという状況なのだが・・という流れ。
主人公にとってマガモノとは異形で自分の命を狙う存在でしかなかったが、人の形をした自分を狙わない屋敷のマガモノたちとの出会いによりその認識を改めなくてはならないかもと考え始める。といってもマガモノが主人公の家と密接な関係にありかつ家人を狙うのは条理のようではあるようですが。
屋敷内のマガモノたちの妙に軽快なテンションと、マガモノの寿命が尽きるころの変化の設定のギャップがせつない。未来が短い運命の暗示の提示を先に持ってくることで、牧歌的な絵柄、軽いノリとシリアスが絶妙に同居している構成。あと思わせぶりでややこしい設定を逆手にとって読者側にアプローチする形態も特徴かな。
設定とエピソードが点在していて定まっていない印象があり、初見では物語に入りにくいきらいはあるものの、じっくり読むと引き込まれる要素は多分にあり。
マガモノたちの動向、主人公と本家の間にあるものが物語の基軸のよう。主人公の持つ鍵?や町長たちの動向など気になる要素がてんこ盛り。あいかわらずキャラ描写も物語の流れも切り口が独特で斬新。
群青
ゼロサムコミックス全3巻 / 一迅社
ジャンル:少女・ファンタジー / 好み度:★★★☆☆