安全な合成食料が完成し、それを機に食料統制が始まった近未来。しかし統制以前に生産された冷凍食品はいまだ闇ルートで好事家たちに捌かれていた。それを取り締まる農林水産省・冷食捜査官の物語。一口で言うと近未来を舞台にしたハードボイルドギャグ。
登場人物たちはデフォルメされたギャグキャラ、その行動もコントのよう、しかし当人たちはいたって真面目という構成。コメディではなくギャグといったほうがぴったりくる、しかしハードボイルドと言っても十分に通用する雰囲気も持ちあわせるという絶妙なバランスのタイトル。
安全な食料を口にし慣れたこの時代の人はそれ以前に生産された天然の食べ物を食べると体調を崩す。しかし害をなす汚染されたものでも大枚を払って食べたいと思う人間とそれを売りさばくシンジケート。それらを取り締まる捜査官の追う追われる展開、策略合戦といった戦いが繰り広げられています。昔の禁酒法みたいな状況か。
「危険な食料」と「食の安全」という問題提起を孕んだ真面目な内容。社会を捻くった1コマ漫画をストーリーにした感じというべきか。
著者の作品ははじめて読みましたが本当に面白いと感じたタイトルです。はしばしにあるコネタギャグもツボどころ。
とり・みき
モーニングKC1巻 / 講談社
ジャンル:青年 / 好み度:★★★★★おすすめ