未完の恋・夏の思い出・胸の炎・シュガー・三年前の・キャメル・鬼丸さんの恋・ファミリアファミリアシリーズ・泣き猫月光を浴びるほかを収録した百合短編集。
表紙は扇情的ともとれるが内容は題名のごとく完全には成就されない百合系恋の話。ある場面を切り取ったような叙情的な短編が多めかな。プラトニックというかトモダチ以上恋愛未満的な感じというかなびみょーな距離感、お互い手を触れつつ綱渡りをしているような百合ものではよく見られる構成かと。
勢いのある筆致に秀逸なデッサン力と丸みを帯びた可愛い絵柄。ものすごく好みです。
どの話も完全に両思い!って終わらず、恋人でないにしろある種の両思いを匂わせたり両思いじゃないよなという切ない話もあったりとバランスと雰囲気がいいなあ。
未完の恋は、席が前後するふたりの交流の話。前の席の子が後ろの席の子にちょっかいをだし、とまどう後ろの席の子。というほのぼのした雰囲気。
夏の思い出は、大好きだった従姉妹の結婚式に出る女子の話。従姉妹との秘密の思い出と約束、彼女への憧れと思いのモノローグが印象的。
胸の炎は、片思い百合。物語の主格の女性は、親友に愛的な熱い思いを持ちつつ隠している。親友は恋多きというか天真爛漫というか彼氏との恋愛で幸せになりたいタイプ。親友は彼氏を作っては幸せに浸るがなぜかフラれる、そしてフラれるたびに主人公の部屋にやってくる。主人公は親友であり片想いの相手の幸せを望めない、とちょっとヤンデレ?ぽい要素がある話。けっこう大好物な話かもしれない。短編だけどどこかで続き書いてくれないかな。
シュガーは虫歯とキスの関連をする女子高生ふたりの話。虫歯がキスでうつるは、乳児と親の話だったような?
ファミリーファミリーは、幼少期から親しくしているとなりの家の姉さんにずっと片想いしている女子高生の話。おねえさんは結婚して男の子が産まれて以後も、おねえさんの家族と交流がある主人公。息子ちゃんとの会話やお姉さん夫婦のちょっとした会話を見るときにうかぶ様々な主人公のモノローグがせつなくも読ませる。息子ちゃんと旦那さんの心情も描いているところがミソ。ある意味お姉さんは天然の小悪魔かもしれぬ(笑)
泣き猫月光を浴びるは飼い猫擬人化漫画、以上(おい)
ほかには絵が違っていて百合じゃない話も入っていました。ついでに単行本に入ったことのない話を入れちゃったのかな。
宮内由香
まんがタイムKRコミックスつぼみシリーズ全1巻 / 芳文社
ジャンル:百合・恋愛 / 好み度:★★★★☆