女子達の暗黙のルール内に収まり学校生活を送ることに安心と退屈を感じていた女子は、その枠に入らないカメラ好きのクラスメイトの女子が気になり始める。
主人公は女子高生。クラスメイトとも馴染みソツのない学校生活を漫然と過ごしていた。そんな中、クラスの輪に入らない美少女の同級生が気になり、昼休みにそっと後をつけると振り向かれ、彼女の持つカメラで突然撮られる。
そんなきっかけから、美少女の趣味であるアナログカメラを通して徐々に親しくなっていく。クールな美少女、かと思ったが柔らかく笑う彼女に魅了されたシーンが印象的。その一方で主人公は野球部員で人気者の男子にアプローチされ、反発しながらもやりとりが続く。題名から想像した内容に反し、カメラに特化しただけの話じゃなかった。青春群像っぽい話だった。
自分が興味のあることしか関わらない女子、周囲と合わせる生き方から変化が出てくる主人公、他者から自分への興味というものに疎い野球男子。主人公とカメラ女子のやりとりは百合っぽい雰囲気があるような。実際そうだとはやし立てられる場面もある。
家庭環境の違い、学生が終わる次の段階の道の選択、カメラ少女との関係、男子との関係、などなど人間関係や自分自身のこと、生活環境様々な要素が丁寧に綴られていく。端々にリアリティのあるエピソードを置きつつきっちりドラマがある。絵空事ばかりじゃなくて身近に感じるものがあるというか。
あと1巻終盤でカメラ少女と野球男子にけっこう深い接点があることがわかりいろんな意味で続きが気になる引きだった。青春ものの中では地味におすすめしたい作品。
月子
モーニングKC全5巻 / 講談社
ジャンル:青年・青春 / 好み度:★★★★☆