自由で飄々とした家政婦小田切里の生き様を綴った物語。放浪とかいてさすらいと読む。
1話目と2話目は派遣された家でのエピソード。雇い主側の娘ないし奥さんは主人公と対象的にいろんな意味で女性なキャラであるところが印象深かったです。3話目は主人公の郷里での古株面々との戦い。戦いといっていいだろうこれは。別に暴力があるわけじゃないですがね。文字通り狐と狸の化かしあいってかんじで。親戚が多いと人間関係も複雑だ。
家政婦さんというと(古い考え方でしょうが)雇い主の指定に意義を唱えず雇い主に対し穏便な態度というイメージがあるのですが、この主人公はそういうタイプじゃない。不合理だと感じれば雇い主にでも意見する、けれど自分の仕事はきっちりこなす、まさに傭兵タイプの活力と合理主義を持つ女性。
一見破天荒な行動も実はちゃんと道理を通してあり最後に種明かしという構成が魅力的でした。読んでみればわかりますが主人公、相当のタヌキです。自分の意見を静かにいい、ぎゃんぎゃんさわぐ相手にそのまま騒がせ最後にひっくり返す。計算され細かいことはスルーする漢前っぷりが清清しかったなあ。
「大人の付き合い」な要素も直接的でないにしろ結構多分にあり、それも主題のひとつなのかなと感じたり。痩せ型で男性並みの身長、容姿もそんなに良くないけれど男女共に持てる主人公。来る者拒まずでいろんな意味で器の大きい人間には人が集まるということか。女性が好きな性的嗜好(男性もいけますが)というのも女っ気が少ない気質設定と相まってうまいキャラ設定だなあと感じました。
いろんな意味で枠をぶったぎった雰囲気のあるタイトル。読み手によっては違和感が残るかもなので人を選ぶタイプか。私はハマりましたが。
続シリーズとして、ピリ辛の家政婦さん・爽快な家政婦さん・誰そ彼の家政婦さん・ 波飛沫せし家政婦さん などが出ています。
小池田マヤ
フィールコミックス各全1巻 / 祥伝社
ジャンル:女性・ドラマ / 好み度:★★★★★