死ぬことがたまらなく怖い中学生の男子は、15年後寺の跡継ぎとして僧侶となる。僧侶として妻を持たないと決めつつも色欲という煩悩は払えず女性との性交は盛ん、という状態。そんな中、オリンピック出場の経験もある元マラソン選手の女性との縁談が持ち上がる。
密かにファンだった相手だが縁談は断る主人公。しかし女性は主人公の祖父に頼み込み仏門に入ることになる。
死の恐怖と煩悩と、悶々とする僧侶、同時期活躍した元女子マラソン選手の現在の華々しさへの嫉妬と過去に捨ててきたものへの後悔など諸々の感情を払いたく仏門に入る女性。双方似たもの同士ゆえか主人公は女性の救いにはならず、主人公とはタイプが真逆の主人公の友人である僧侶が女性に近しくなっていく雰囲気。
一種の微妙な三角関係状態だが、その状況から主人公の立ち位置と心情描写が見所となっていくのかな。
生きるということにおいての方向性の模索という感じの内容。宗教というのはそういうものか。仰々しくないというかリアリティを伴う人間の生々しさが巧みに描写されている印象。
朔ユキ蔵
ヤングジャンプコミックス改全6巻 / 集英社
ジャンル:青年・ドラマ / 好み度:★★★★☆
この主人公の死への恐怖は幼少時の自分と重なる。当時、一日一日死ぬときへ近づくのが怖いと祖母に告げたらそれは自分(祖母)が言うことだと失笑されたっけ。