伝統のあるお嬢様学校という閉鎖された場所に集う少女たちの物語。
校内には異端視された学生が集まる読書クラブが存在し、校内で発生した正史に残されていない事柄をクラブの書記が綴り語るという形式で物語は始まる。
お嬢様学校という閉鎖された独自のコミュニティの中で繰り広げられる偏愛、偏見、恋情その他もろもろ。過去のある時期の世相と流行を取り入れ百合風味な世界が展開されていきます。
ナレーションは純文学的、登場人物の口調は宝塚調で、展開は演劇のよう。現代的なコミカルさは完全に排除されており古典な香りがします。原作は未読ですが純文なのかな、やっぱ。
育ちから友人ができない転校生が、クラブの部長のプロデュースによりワイルドな王子という立ち位置に変貌する60年代のエピソード、ジュリアナばりの成金的な3人の女性が全共闘的な革命を起こそうとする80年代のエピソードとか。ある意味もうギャグとしか見えないんですが(笑)
女子高の偏ったイメージを余すところなく形式美として構成に取り込んでいるなあという感じがしました。異端な者に対する容赦のない侮蔑、一人の王子を選出してそれに憧れを抱き恋する乙女という状況の満喫。ある視点においての女性の本質の一部を赤裸々に語ろうとしている・・・の?
作画のタカハシさんの、美しさの中にどろっとしたものが含まれる、女性特有の性質の描き方はあいかわらずうまいなあ。作画担当の選択は成功だと思いました。
原作:桜庭一樹 / 作画:タカハシマコ
フレックスコミックスフレア2巻 / ソフトバンククリエイティブ
ジャンル:青年・ドラマ / 好み度:★★★☆☆
タイトルを見て女性の中に女装男子が混じっている話と勝手に勘違いして買ってしまったのは秘密です。