まじめな時間 清家雪子 


まじめな時間(アフタヌーンKC)

交通事故で死亡し気がつけば幽霊になっていた女子高生の話。死者はしばらく浮遊霊となり後に成仏するのが常という世界設定。ただ負の心情が肥大すると悪霊になる場合も。霊仲間もいれば霊になりたての人たちを導く役割の人間もおり。主人公は自分が死んでも身内や友人たちは日常を取り戻していることに落胆し、好きな相手は自分を好きと思っていたら実は別の女子が好きで、という事実を知りいまさらながらに横恋慕。
自分がいなくなっても世界は回るという虚無と親しい人間たちから自分という存在を忘却される寂寥、など微妙な心情描写に共感してしまう。囚われ続けられるのも不憫だけどあっさり切り離されるのも寂しい。某さよならも言わずにを読んだ後のもやっと感を思い出してしまった。主人公の気持ちの揺らぎと、負の感情と悪霊化の設定を絡めそつなく話をまとめている。

清家雪子
アフタヌーンKC全2巻 / 講談社
ジャンル:青年・ドラマ / 好み度:★★★☆☆