既成概念の枠を叩き壊した世界観の、明るいブラックユーモアの数々が魅力の初期短編集。
独自の世界観ながら結構現実的な物語ばかりです。人を喰ったようなオチの中に人として生きるだけで生じる罪のようなものを表現しているというかなんというか。一見無茶な話に見えてその実、人の本質とか根本が語られています。固定観念のない公平な視点で描かれているので、そういえばそうだなあと感じることが多々あり。テーマがわかりやすいところとか一話一話のページが短いせいか、スパッとした展開が多いのがお奨めポイント。「薫さんの帰郷」は田舎の、都会に対する偏見とかギャップとかを的確に表現した秀作。うんうんとうなずいてしまうことがけっこうありましたね。
収録作品:君よ知るや海の魚/フランシーヌ/治療/ 先輩/接吻/ロクちゃん/混成/本能/忠誠/ファン・ファン・ファンタジー/ラプンツェルダウンタウン /カンペキwalking/夜の子供/ムーヴ/カメレオン/潮のささやき/花ばかりの王園 /ナバナバパラダイス1.2/ききたがり/柄/かりそめの旅/お姫さまの竜/コチコチのかわいこちゃん /約束/歌うたいの記/学校ちゃちゃちゃ!/パシェットの息子/
TONO
眠れぬ夜の奇妙な話コミックス各全1巻
博士の魚たち+薫さんの帰郷 / ソノラマ文庫全1巻/朝日ソノラマ
ジャンル:少女・コメディ・ユーモア/好み度:★★★★★