「となりの関くん」などを著書にもつ男性漫画家である著者が、姉である漫画家東村アキコが勧める店に行きグルメリポートをするというコンセプトのグルメエッセイ。
内容的にはグルメエッセイなのですが、事のはじまりというか裏事情がちょっと世知辛くもある内容ではじまる。
集英社・ジャンプ系列雑誌からオファーがきて著者は浮き足立つものの、企画はフィクションではなくグルメリポートものということ、かつ編集担当が姉・東村アキコの元担当であり内容は姉と担当主導で行われるということだった。著者だけでは弱いと踏まれたのか著名な漫画家の姉を絡ませてのグルメリポートものということか。つっても著者自身の著者も知名度はあるとおもうんだけど・・お姉さんよりは弱いか・・?
題名のいいなり、というのはこの企画に限らず幼少時からわりと姉に指針を押される関係だったというのもあるみたい。まあそんなこんなで姉が進めるお店のグルメリポートをするわけですが・・。
1巻の段階では、行く店がものすごく偏っているのが特徴。ホルモン屋が連続、1度だけ魚、韓国グルメツアーもあるという、ほぼ肉まみれな内容だし、お姉さんが出張りすぎという面も目立つかんじ。
あと著者がひとりで行くこともあるけどほとんどは担当さんやお姉さんや奥さんとともに団体で行くパターンが多いので、お店のメニューのリポートのみならずそのお店で食べた雰囲気やメンバーたちの会話などが印象的でした。姉や担当の無茶振り、著者の交遊や家族ネタを絡めたグルメエッセイと見れば読み応えはある模様。
で、メインのグルメリポート描写は的確でまじめで丁寧。ホルモンは正直食べたいジャンルではないのですが、おいしそう・食べてみたいかなと思わせる描写でした。やっぱ堅実な表現力を持った人だなと感じました。
森繁拓真
ジャンプ改コミックス全2巻 / 集英社
ジャンル:エッセイ / 好み度:★★★★☆
個人的には、企画を始めるに至り、弟に対しての姉漫画家の助言?が印象的でした。忙しい現代人は読みやすくてためになる内容を欲する。ど直球で自分にあてはまるんですが、これって忙しい社会人がいまのところ一番漫画を読む層ということなんかなあ。未成年の少年少女たちもそれを望んでいるとも思えんのだけど、エッセイものがはやっているのは確かなんだろうな。