深く底が知れない秘境の大穴「アビス」が在る世界。穴の周辺に形成された街の孤児院に住み、亡き母のような偉大な探検家を夢想する少女は、表層の探索の際、少年型のロボットを拾う。アビスを巡る冒険活劇譚。
ファンタジー的な要素もありげな少年少女たちによるトレジャーもの。世界最後の秘境らしい巨大な縦穴アビスが在り、巨大で危険な生物が生息すると同時に価値のある遺物が多く埋もれている。遺物を取る冒険家たちが日々穴に降りていく。ちなみに穴の深度により肉体に影響が出るので、細かく規定された資格に応じて入れる深さが決まっている仕組み。
主人公の少女は街の住む孤児で、彼女の住処の孤児院では孤児たちが冒険に出て得た成果が院の運営費となっている。そんな中、いつものように発掘をしていた主人公は、巨大生物に襲われた際何者かが発した光線に助けられる。その光線を出したのは少年型のロボットのようで・・。
亡き偉大な母が最深部に行ける資格を持っていたため自分もそうなりたいと望み、夢見がちなところもあるが前向きな主人公は、記憶がないが何かにつけて聡明な少年型のロボットをつれて資格以上の深いエリアに出る。主人公が立派な冒険家になりたい一方で少年のほうも記憶を取り戻し自分が何者なのか知りたいと思っているので持ちつ持たれつでバディを組む、という流れ。
牧歌的というか描き込みが多い絵本でも行けそうな絵柄とざっくりした筆致、少年少女達の冒険というシチュエーションも相まってわくわくする。世界観の作り込みも秀逸だしストーリーというかドラマのほうもいろいろと深く、仕掛けもある模様。
つくしあきひと
バンブーコミックス1~ / 竹書房
ジャンル:青年・ファンタジー / 好み度:★★★★★