百姓貴族 荒川弘

Amazon
百姓貴族をAmazonで見る

北海道・開拓民の流れをくむ農家のプロの家に生まれ育った著者による、自身の農業・酪農の体験談や第一次産業の現状などを綴ったエッセイ漫画。
おそらくめったに見かけない本格的な農業を題材にしたエッセイ。実家の家業の風景、著者の家族の豪快な逸話、自然災害や獣との闘いの描写、農業高校のエネルギッシュな学園風景、第一次産業に従事する者としない者との意識の隔たりなどなど。読み物として面白いし、農家の常識も学べます。農家の常識は社会の非常識、名言というべきか。農家(酪農家)は大変、体力勝負、というイメージはやっぱりそのままなんだなあと。
食料に関する直接農業に携わったことのない一般人の無知や偏見とかお上の無茶な要望とかの話では確かにそれなりに憤りを感じるのも無理ないかなあと思ったり。まあ読み物的にオーバーアクションな描写にしているとは思いますが。
あと印象に残ったのは生まれて一度も立てなかった仔牛の話。酪農に従事していると家畜などの生と死を目の当たりにするわけで、この辺がハガレンの題材の元になっているんだろうな。
提示されたテーマも内容ももちろん面白く興味深いのですが、個人的には著者の超人といってもいいようなバイタリティの理由がなんとなく理解できるという印象も強かったタイトル。あと終始デフォルメした牛先生キャラがいっぱい見れたのもうれしい(笑)幕間や巻末や表紙に漫画を加筆、パラパラ漫画もついています。

荒川弘
ウィングスコミックスデラックス1~ / 新書館
ジャンル:エッセイ・農業 / 好み度:★★★★★おすすめ