高校生・高西知恵は、未来人が持ち込んだ、潜在能力を引き出す花「フラワーデストロイヤー」によって超能力に目覚める。その力を使えると判断したタイムパトロールの助手にスカウトされ、友人たちと共に、現代に発生したデストロイヤーが原因の事件に対応する知恵だが......。
高校生の年頃になると、将来とか未来とか、自分の歩く道とかについて多かれ少なかれ悩みます。すぐに道を見つけて先へ進むための努力をする場合もあれば、道がみつからず停滞する場合や、漠然とした不安とか迷いを感じる場合もある不安定な時期。この時期を経て人は、自立し、こどもから大人へ変わるわけですが、そんな過渡期にいる彼らを、時には躍動的に、時には静かに描かれた作品。心情描写がかなり巧みだなと感じました。間合い(?)が絶妙というか台詞が印象に強く残るというか。アクションも臨場感があり、キャラクターが生き生きと描かれているため話の展開にリズムが感じられ、すいすいと物語に引き込まれます。シリーズ最後の「ダークエイジ」は、心理描写が多かったせいか、前3作品が動ならこちらは静といった印象を受けました。
収録作品の「フラワー=デストロイヤー」から「ダークエイジ」までが同じシリーズで、U.Fチャンスから「冬の瞳」までは知恵の姉と、怪しげな幼馴染不破徹の物語です。世界観はつながっていますし、不破徹は、「ダークエイジ」にも登場し、けっこう重要な位置にいます。
那州雪絵
白泉社文庫全1巻
ジャンル:SF・少女・アクション/好み度:★★★★★
収録作品:フラワー=デストロイヤー/プロトウインド/サマーファング/ダークエイジ// U.Fチャンス/秘密だよ/BOYのテーマ/冬の瞳