女性を殺したと光夫に電話で告げるのは高校時代主従関係にあった光央だった。再会し共犯という新たな関係を持った2人だが。
高校時代は主人と犬という主従関係にあったが卒業後は、光央はヤクザのチンピラ、光夫は技術者と別々の道を歩んでいた。正反対の世界にいた2人は事件をきっかけに再び行動を共にするようになるという展開。
破滅的な行動を繰り返すチンピラの光央、静かに傍にいる光夫。危ういのは光央ですが存外まっとうな思考で、逆に表の仕事をする光夫のほうが狂気を内包しているというギャップが興味深かったです。このアンバランスさは互いが近くにいることが要因となっているところも。
光夫に対し複雑な心を持ち彼から離れようとする光央、離すまいと共に堕ちることを決める光夫。鮮烈な感情の発露の純粋さを感じるにつけ、終始純文学を読んでいるような気持ちでした。それなりに落ち着いたラストで読後感も悪くなかったのがよかったです。
ボーイズラブというより昔のJUNEのような互いの唯一感が強調された美しい世界を思い出させるタイトルでした。ハードな場面は多いので好みは分かれるかもしれませんが。
中村明日美子
エッジコミックス全1巻 / 茜新社
ジャンル:ボーイズラブ / 好み度:★★★★☆