彼女いない歴=年齢の内気で夢見がちな三十路青年・一義。モテない彼だが結婚願望はあり、運命の人に出会うための場をつくるため、巷で話題の女性が足しげく通うようなおしゃれカフェの経営に着手する。地道にためてきた貯金を使いカフェのマスターとなるが、一般受けしないであろうセンスの内装で案の定、店は閑古鳥。
女性客を望むもほとんど来客せず、マスターに哀れみと痛いものを見る生暖かい視線を送るバイトの女子高生ウェイトレスと、なにかしら満たされていないおじさん常連客たちがいつもの顔。そんな中、一人の幸薄そうな美人が客としてやってくる。
内装はすべて主人公のマスターの手作り、自作のこけしやふくろうの絵、そしてポエムなどが飾られるという客観的に痛いというかひくというか。本人の髪型リーゼントだし。しかし当の本人はいたって真面目で前向き。残念な状況に落ち込みはするけれどいじけず健気なマスターに涙。うまいコーヒーをいれるなど全部が全部残念でないところもミソなのか。
いつなくなってもおかしくないものの常連客やバイトの女の子たちもカフェがなくなると居場所がなくなるゆえになんとか存続させようと奔走したり常連の一人である美人とマスターのドラマとかあったり。奇抜な設定の人生コメディかと思いきやしんみりドラマで驚いたなあ。
ほのぼのというか大仰でない浪花節というか、人生に勢いがちょっと少ない人たちが寄り集まって充実するために行動するみたいなノリ。停滞しているぱっとしない状況の中に咲く小さな幸せってのが伝わる内容。
蓮古田二郎
ヤンマガKC1巻 / 講談社
ジャンル:青年・ドラマ / 好み度:★★★☆☆