捨てられた動物を見ると拾ってしまう気質の高校生健は、雨の中で死んだ犬を埋めている少年・倖生と出会う。
家族の愛情に乏しい小学生の男の子と、大家族で育った男子高校生の出会いから始まるハートフル家族コメディ。小学生・倖生の家はお金持ちだけど家族はバラバラ、高校生の健のうちは大家族の職人の家で、家族は下町人情あふれる善良な人たちという設定。
環境から冷めた目線の小学生と人情味あふれる高校生のやりとりとか、互いが互いに感じる心情描写、各々の家族の描写が見所か。家族人情ドラマの王道な内容。
1巻のメインの話で、関係が崩壊した家庭で過ごしている倖生が痛々しい。そして暖かい家庭に対する憧憬の描写も。でも健が介入したことから母親は冷淡なのではなく、息子と同じで、孤独で不器用で理屈っぽくて愛情をうまく表現できない人だとわかり、これを機に徐々にわかりあえると良い。2巻目は健側の話になっています。わやわやと騒がしく楽しくほろっときました。
キャラの表情がすごく雄弁で心情が湧き出るような描写なのもツボどころ。1冊がすごく分厚くてとても読み応えがあります。
こういう人情もののお涙ちょうだいな展開はどうしても読みづらくて苦手なジャンルなのですが、このタイトルはおしきせでなくするっと心に浸透するような構成ですごく好き。
永尾まる
少年画報社コミックス2巻 / 少年画報社
ジャンル:青年・家族ドラマ・ハートフル / 好み度:★★★★☆