護衛官の青年は学生時代の親しい友人である貴族の青年とベンチで話す。その内容は、彼らが学校時代に体験した事件。話の基軸は推理ミステリーで、魚人の骨とか猫又とか霊といったホラー・ファンタジー要素も加味されいます。とはいえ不思議要素の存在はあいまいであり、現実の体験談でもあるような、本物か否かという不明瞭さを残すという形。
そして物語の一番の肝は、貴族の青年の方は現在の自分の状況に関する記憶を無くしておりもう一人の青年はことあるごとに貴族の青年と会って記憶を取り戻させようと昔の体験談を語るということ。
この現在の2人状況をネタばらしするのは最初のエピソードではなく1巻最後にやったら効果的だったんじゃないかなあ。というかそれ以前に帯に書いてますな。
あと貴族の青年の状況を変えるための要素が記憶だけなど若干基本設定に甘さを感じるかな。後々最初に提示した設定をひっくりかえす展開ならまた違ってきますが。
西欧風の少年学園ものというと漠然としていて導入が読みづらいことがあるのですが、こちらは目的と状況がわりと明確なのが救い。といっても現在の場面から回想の出来事に移行する演出はもう少しスムーズだったらなあと。再読すれば気にならないんですけどね。
2人のやりとりなど物語全体の雰囲気は清廉でそこはかとない魅力を感じるし、少年時代サイドの少し不思議ミステリーも十分楽しめる内容かと。
原作:高里椎奈 / 漫画:十峯なるせ
ゼロサムコミックス全3巻 / 一迅社
ジャンル:少女・ミステリー / 好み度:★★★☆☆