ダイナムーン 阿仁谷ユイジ

Amazon
ダイナムーンをAmazonで見る

ジロウと紺は付き合っているが紺の幼馴染の茜には内緒だった。しかし茜にバレその日に茜は失踪する。そんな中奇妙な都市伝説が周囲をざわつかせていた。SFバイオサスペンスホラー
茜の失踪と都市伝説がつながっていたという話。ネタバレしてしまうと紺がその中心で茜は巻き込まれた状態でそれらの謎をジロウがおぼつかないながらも核心に迫っていくという流れ。オカルト系かと思ったらバイオサスペンスだったという。まあある意味オカルトではあるんだが。
ガールフレンド・紺に夢中でそれ以外見えていないジロウ、読み手から垣間見える謎を持つ紺、複雑な心境を抱えているであろうことが伺える茜。各々のキャラがしっかり作られかつ物語の立ち位置にしっくりくる組み方は見事。主人公の男子の単純さと鈍感さと熱血さとデリカシーの乏しさは夏のあらし!の主人公を彷彿とさせるなあ。
物語の肝となるバイオサスペンスの設定はどこか昔なつかしいかんじが。往年のホラーものを感じさせるというかなんというか。すさまじくグロくて哀しい。主要人物3人も紺の父親も自分以外を愛しているのにそれゆえにかみ合ってないというか不協和音というか、という相関がせつない。
サスペンスホラーものとしての設定も展開も人物描写すべて秀逸だなと感じた内容。
余談ですが、このコミックスが発表された後、後日談に茜とジロウが成人してからの話が単発で出ましたが、正直なところ世界観ぶち壊しというか・・別の新しいキャラでやってほしかったなあ。
都市伝説、がテーマという共通項はあるけど意味合いがまったくちがうし。

阿仁谷ユイジ
ウィングスコミックス全1巻 / 新書館
新装版BE・LOVEコミックス1巻 / 講談社
ジャンル:少女・サスペンスホラー / 好み度:★★★★☆