ちーちゃんはちょっと足りない 阿部共実

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ちーちゃんとナツ。中学2年の女子たちの日常と事件と交流のお話。
中学生日記みたいな話なんだろうけど純文学とか文芸小説みたいな作風というか。どう説明したもんだか正直難しい。
主人公の1人であり題名にもあるちーちゃんは題名にあるとおりちょっと足りない。思ったことを言い社会生活においての善悪というかルールには縛られない。客観的に見て正論なこともあればモラルに反することもあり、しかし当人には素で優越感とか罪悪感などは薄い。いろんな意味で純粋、そんな印象。
そんなちーちゃんと彼女を取り巻く友人とか同級生とかの日常におけるやりとりやエピソードを若干エッジを効かせ、でものんびりとした雰囲気で綴っていたが、途中から物語の核となっているであろう、同級生のお金が盗まれる事件がおこる。
物事にまっすぐ向き合う女子、表向きの見た目や言動とうらはらに実は面倒見が良い女子、都合の悪いことを見て見ぬふりをし繕おうとする女子。とりあえず事件はいい話で収まる。その一方で、矮小な心持ちゆえにそのいい話の枠に入れなかった女子が物語の本当の主役とわかる。間の悪さと正しさより自分の欲が勝ってしまったため失ったものも大きかった彼女のモノローグはあるある・・なのか?自業自得なのだが自暴自棄になった女子に、ちーちゃんは変わらず笑顔を向ける。
作品としての完成度は高いと思う。うまい言葉が見つからないからあえて言うとどこか昭和臭さを感じる内容だった。出来たキャラとダメキャラの振り幅がすごいからかも。

阿部共実
少年チャンピオンコミックス エクストラ もっと!全1巻 / 秋田書店
ジャンル:女性・青春・ドラマ / 好み度:★★★☆☆

余談だがこの作品の掲載誌の方向性は微妙だなあと思うことが多くなった。