深夜のとある市立小学校の会議室では学校の七不思議に登場する妖怪達による話し合いが続けられていた。テケテケ、トイレの花子さん、人体模型、二宮金次郎像、プールの幽霊、骸骨模型、ヒキコさん。現代の子供達の間では七不思議は語られることが少なくなり、語られなくなった怪談の妖怪は存在が維持できず消えてしまう。自身の存在を護るためいろいろと画策するのだが・・というはじまり。
昭和の頃と違う世知辛い世相、こどもたちの七不思議に対する興味の薄さとこどもの日常にあるあるな残酷さと世間の世知辛さがの描写がいろんな意味でリアルで風刺が効いている。また妖怪達の生存戦略もてんでバラバラ、エロスの欲求に邁進してコントのようなオチをつける妖怪、幼女設定なのにスレた女性な妖怪、純真で妙に艶っぽいのが仇になる妖怪、己の置かれた状況に嗜好のベクトルが迷走する妖怪、性善説を説いたのに早々にリタイヤを余儀なくされた妖怪・・・。
生存戦略の案を出し行動するも失敗する結末しかないグダグダっぷりとやりとりが主軸に描かれる。妖怪って集団が似合わない個性の塊みたいなもんだからこの設定は絶妙だなと感心するし、キャラの作り方が秀逸。
飯島しんごう
アフタヌーンコミックス全5巻 / 講談社
ジャンル:青年・コメディ / 好み度:★★★★☆