妖精と人間の、時系列に沿ったオムニパスストーリー。
薬品研究所に勤める脳に腫瘍を抱えた青年は、たまに光のような小さな妖精を見る。腫瘍による幻覚かとわずらわしく感じていたがその妖精は自分に何かを伝えようとしていることがわかり、身振り手振りから研究所の材料を集め妖精の器を生成する。妖精は人間の世界にそのまま存在できないので器をつくりやっと2人は出会ったというわけ。
人間の世界で妖精の存在が想像とされたように妖精の世界では人間はありえない存在とされていた、など2人は様々な話をし絆を深める2人。しかし薬品を持ち出したことからイレーアの存在を追及されることになり・・というのが1話目。
1話目の話の終わりで主人公は妖精という名の有機フィギュアを作る技術をおもちゃ産業に売り込み、それを契機にフィギュアが全盛になった頃の2話目が別の主人公で始まるという具合。1話目の主人公が寿命を全うした最終話に物語と世界は大きく動き・・。
全部書いてしまうとネタバレになるのではしょりますが、1話ごとにけっこう時代を飛ばした舞台設定と、同じ世界観ながら話ごとに妖精と人間の関わりあい方が多様なこと、そして1話目の伏線が最終話で明かされる、身近に感じる交流の話から壮大な展開にもっていく構成は見事の一言につきます。
説明が下手でタイトルの良さが伝えられませんが、秀逸な読み応えがある物語です。
安堂維子里
リュウコミックス全1巻 / 徳間書店
ジャンル:青年・ファンタジードラマ / 好み度:★★★★★