軍事工場の町が舞台。戦争が終わったことにより大手からの町工場への下請けが減少し、大手の正社員と下請けとで町が二分しており、その対立は学生の間にも発生していた。主人公のよりこは実家が町工場。家のほうも受注が減り父親は酒びたりの日々。
そんな折、学校内では大手の御曹司である峰はよりこと彼女の周辺を引っ掻き回すような展開に、また学校外では町工場連中が集まってのある画策によりこは参加することに、という流れ。
学園ラブコメ、家族ドラマ、戦争と経済の相互事情が絡む画策、ロボットアクション、といろいろ要素が詰め込まれた内容。
戦争が終われば兵器を作る産業は不景気になる、という戦争が続く理由の1つが基軸の話。で、その不景気を改善するために敵を自分たちでつくるという禁じ手。敵機であるロボットを操縦するのは若い主人公が適任ということでその画策に関わることに。1巻では町工場側の画策がメインですが大手側も画策がある模様。
大人の事情はそのまま自分の生活や将来に関わることなので無下にできず、大人たちの思惑に使われるこどもたちの図式もあり。
学内では、一応恋愛と友情の話になりそうですが、峰は意思疎通がやりづらいというかつかみどころのない気質で、彼が拾った動物はなぜか峰とよりこをくっつけたがりそれが元でよりこは友人と気まずくなったり、また学校外のごたごたでも出会うことになったり。
主人公の家族の話では父親との確執がメインか。酒癖が悪く心無い言葉を娘に浴びせては鮭が抜けると記憶をなくす父親。主人公にしてみれば自分の工場をなくさないため不本意ながら努力しているのに父親は働かないというジレンマがリアル。
また絵面的にも詰め込んでいるなあと。町の経済とか事情や生活風景は現実的で産業のロボットはS二足歩行系の乗り込み型ロボットとSFチックという。
比較的わかりやすい要素をうまく組み合わせている秀作であり、これだけ要素を詰め込んで整合性を出しているのもすごいなという印象。しかし興味をそそるかどうかは好みが分かれるような内容とも。
夏目ココロ
講談社コミックスARIA全2巻 / 講談社
ジャンル:少女・ドラマ / 好み度:★★★☆☆