黒薔薇のサブロ 内藤隆 / 小池倫太郎

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蔑まれた第三王子サブロはその不遇から脱却し王となるため悪として奸計を巡らせる。シェイクスピアのリチャード三世をモチーフにした、戦国SFファンタジーダークヒーロードラマ。
王族は長く白薔薇と赤薔薇の二派に別れ王の座を巡り戦争をしていたが白薔薇の勝利という形でいったん収束する。白薔薇派の三男サブロは太平の世でも不遇なままの自分が王になるため奸計と画策を巡らせるが、
武装騎という戦闘メカなど科学技術が発達したSF要素と、文化・政治形態など日本の戦国時代の要素と、魔素などのファンタジー要素を組み合わせた世界観。リチャード三世というシェイクスピアの歴史劇作品を元にしています。さすがに物語の基盤はしっかりしており、イマドキの要素で上手く味付けされ、美麗な絵がさらに読み応えを深くしています。
史劇が元ネタなので大仰というか芝居がかった演出が目立ちますが白けることなく魅せる演出の技量は見事。
リチャード三世にあたる、主人公サブロをはじめとし登場人物の個性がものすごくハマッています。特に主人公に近しい2人のキャラが。先の戦争で主人公が戦利品として持ち帰った両性具有の物言えぬ人造人間トコと周囲に疎んじられた主人公の言葉を自分の実にした王女イロハ姫。主人公がいかなるときもそして最後まで彼の傍らにいたトコの存在が主人公の激しさと哀しみを映し出しているような。そしてイロハ姫が主人公の言葉で周囲を見るようになり彼女が物語の最後に取った行動で主人公の行動に意味があったと感じる結末が印象的でした。

原作:小池倫太郎 / 漫画:内藤隆
エモーションコミックス全1巻 / エモーション
ジャンル:青年・SF大河 / 好み度:★★★★☆