砂礫王国 由貴香織里

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2009年に文庫版として再編成された著者の中篇を集めた作品集。

砂礫王国
水の女神シェラフィータを崇める砂漠に栄える「時の王国」は外の砂漠に住む人を喰う砂喰族の脅威を感じていた。そんな中王国の王子・煌と砂喰族・砂牙は運命の出会いをする。 8年後、時の王国の王は息子である砂牙に殺され、王の姿を借りた砂喰族の砂樹羅王によって煌は地下刑場に落とされる......。煌と砂牙。彼らの運命と愛と憎悪を描いた物語。
復讐がコンセプトのサスペンスなファンタジーロマンもの。作者らしい怒涛の愛憎劇が展開されています。ツボをついたファンタジー設定と人物の生々しい心理描写が見所。ページ数が少ないのでちょっと駆け足だったような気がしました。砂牙と砂喰族の女性のエピソードをもうちょっと描いて欲しかったなあ。ハッピーエンドに近いラストが個人的に良かったです。
ストーンヘンジ
剣と魔法の世界と現代世界がストーンサークルでつながっている設定のファンタジーアクション。短編でやるには設定が壮大すぎてもったいないなあという印象。
時間をとめた少年たち
全寮制の男子校でおこる奇怪な殺人事件とは。幼いころ誘拐されていた過程から両親とおりあわない名門の野生児少年や新しく入った女中の少女が学院の闇の謎を解くサスペンスミステリー。物語のからくりが凝っていて見ごたえがありました。
残酷な童話たち
生き別れた妹候補として古い城に招かれた少女の物語。
童話の暗部をからませながから、人間の情愛と憎悪、恐怖を描いたサスペンス。短編ながら物語に深みがあり、構成もしっかりしています。

由貴香織里 / 白泉社文庫全1巻/白泉社
ジャンル:少女・ダークファンタジー/好み度:★★★★☆