人間を狂わせる未知のもの「悪魔」が一般認識されている社会。無気力な日々を送る中学生の少年は黒い羽根を持った悪魔とすれ違う。悪魔との契約、狂いだす周囲の人間と日常。思春期の少年少女が綴るダークファンタジードラマ。
舞台は現代日本ながら、正体がつかめていない人間を狂わせるモノを「悪魔」と呼称しその存在を社会全体が認めているという世界観。男子中学生の主人公は無気力というか周囲の人間との交流を拒絶気味。悪魔と騒ぐ周囲にも我関せずの姿勢だったが帰宅途中、人間でない少年とすれ違いそれが悪魔だと確信する。そしてその悪魔は主人公に語りかけ特定のルールによるゲームを持ちかけるが、という流れ。悪魔と対峙したときにはすでに周囲の人間に狂いが生じており、主人公は有無を言わさず巻き込まれていきます。
壊れた主人公を思う女の子や一見気安さを覚える同級生や主人公に依存する妹の心情描写とそれに対する主人公の対応、そして悪魔が本当に望んでいることとは、ってのが話のメインかな。
思春期独特の精神論が繰られる描写演出それと同時に展開される辛い現実から狂う登場人物たちの描写が痛々しくも圧倒されます。
ホラーというかオカルトというか心の迷宮に入ったような感覚の場面が次々と出てくる構成、画面描写にはある種圧倒される勢いがありセンスを感じたので、このテの話が好きな人にはウケるかも。
ストーリーのほうは、テーマもキャラ描写も唐突すぎて何が語りたいのか良くわからないブレっぷりだったなあというのが正直なところ。個々人のトラウマ描写はそれなりに読めたのですが。やはり廃頽的な雰囲気を楽しむ作品か。
原作:吉影悠 / 漫画:K口
エモーションコミックス全1巻 / エモーション
ジャンル:少年・ホラーファンタジー / 好み度:★★☆☆☆