ジャポニカの歩き方 西山優里子

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在外公館派遣員となった青年を通して描かれる外交・海外交流の物語。
主人公の青年は卒業旅行で行った東南アジアでトラブルにあい大使館職員に助けられるものの内定者説明会を無断欠席してしまい内定を取り消されてしまう。結局就職は見つからず仕舞いの中、あるイベントで東南アジアの国に赴任予定の大使から職員にスカウトされる。
元々海外に、というか地元にすら出たくないというある意味「典型的な日本人」な上旅行での体験から乗り気ではないものの、崖っぷちの主人公は打算もあってそれを承諾するが。
意気込みがあるでなく予備知識が豊富というわけでもないまっさら状態の主人公が、経験を積んだり教授されることにより成長していく様を描きつつ、世界の中の日本の状況や文化の差異・外交などをテーマを盛り込んでいく内容か。日本人のありがち?な交渉における弱点をすっぱり描いている反面、逆に強みとなるものもあると思わせる描写が印象的だったな。
個人的には主人公の気質そのままの人間ゆえ、同じ目線で物語に入り込めるし、エピソードの構成がすごくわかりやすくて厳しい中にも明瞭な雰囲気があるのも良い。
ちなみに1巻目の冒頭は1974年、外交官である父を持つ少女がベトナム・ラオスでの暮らしから情勢の理由からラオスを出るまでの物語が描かれおり、主人公が読む漫画として劇中劇の形をとっています。この話は著者自身の体験記、そして外交官である著者の父親の話。本編もおそらくは著者自身の経験や知識が反映されているんだろうな。

西山優里子
イブニングKC全7巻 / 講談社
ジャンル:青年・ドラマ / 好み度:★★★☆☆