ベランダでランチ 大沢あまね

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なつうら・悪者係・綺麗・彼は裸電球の下・プレゼント・ベランダでランチ・その雪が溶けるまでを収録したBL短編集。
なつうら
身体を壊した野球部員の男子は実家の寺の草むしりのバイト大学生に家庭教師をしてもらうことになるが。野球ができなくなったことでウダウダしていた高校生が、大学生に励ましなんだかふざけているのか微妙な態度で落ち込みを解消してもらい、やる気をとりもどすという青春ものっぽい空気というか雰囲気というか。その落ち込み解消に突然のキスも含まれており高校生は大学生を意識してBL展開で締めくくられる。純朴でど直球な高校生×飄々とした大学生といったところか。このカップルのシチュエーションが良い。攻の高校生の初体験の感想が運動部らしくて微笑ましかった。
悪者係
兵藤がゲイ雑誌を手に取ったとき同級生の末光と出会って驚いたことから万引きと勘違いされてしまい、末光がかばって店員に連れて行かれてしまう。結局お咎めなしで事なきを得たがあやまる兵藤に末光は悪いと思うならキスをしてくれと告げる。はじめのうちはキスだけ続けて他はベタベタしないところから発展するって流れはなんか懐かしさを感じる。
綺麗
同じ学校に通う恋人同士の2人。体の相性は良いし気持ちがいいけどやるだけじゃなく日常でもいっしょにいたい、日常で出会うちょっとした感動を分かち合いたいと漠然と望んでいるけど相手はどう思うだろう?みたいな。蓋を開けたら双方もう一歩進んだ心のつながりを欲していたのかな、というかんじの話。
彼は裸電球の下
誰とも体のつながりの無いまま死んだゲイの青年の幽霊と幽霊に気がついてしまったばかりにくっつかれてしまった高校生の話。高校生もゲイで彼女のいる親友に片思いという設定。似た感情を抱えるふたりの交流。ラストのまとめかたが叙情的で印象的だった。
プレゼント
友人・古川にもらった袋の中身は洗ってあるけど使用済みのパンツだった。軽くプレゼントとして手渡された状況から古川の意図を図りかね困惑する一方、実は友人にずっと片思いという気持ちがばれたのかとも焦る天野。結局天野は古川の家にいってまちがって手渡され安堵するが今度は古川に件のパンツをはいていることがきっちりばれて・・。妙にくすぐったくて可愛い話でした。
ベランダでランチ
父親と養子縁組をするものの父親は蒸発、以後血のつながりのない父親と息子という関係で暮らす里美と悠人。親代わりの里美は悠人をしっかり育てて悠人は立派に高校生に成長する。いってらっしゃいのキスが日課というくらい愛情たっぷりに育てた息子が年頃になり親代わりの青年にずっと好きだったと告白する展開。2人の関係に変化はあってもやっぱりいつもの日常。
その雪が溶けるまでを
いわゆる雪男と雪国の高校生のお話。熱に極端に弱く抱き合うと致命傷になりかねない雪男の設定がちょっとせつない。一応ハッピーエンドなんだろうけど、ね。
ページ数もあるんだろうけどどの話青春の一幕を切り取ったという感じのお話。緩やかで叙情的な心情描写が印象的な作風は個人的に好みです。

大沢あまね
花音コミックス全1巻 / 芳文社
ジャンル:ボーイズラブ / 好み度:★★★☆☆