戦国時代・伊達政宗の周辺と彼の胸に去来するものは。家督を継いでまもなく父・輝宗が没する事変から始まる独眼竜の物語。
題名通り伊達政宗の生き様とドラマを描いた物語。家督を継いでまもなく鬼神のごとく戦を続ける政宗、そしてお家騒動、そしてまた戦。輝宗や小十郎、成実などの絆とかドラマとか。
内容は骨太というか史実に基づいた本格的な歴史物語なのですが雰囲気が時代物・歴史物にある武骨さが見られない印象。現代向けなスタイリッシュな絵面というべきか。細かいところとか人物同士のやりとりとかも。
変な喩えですが戦国BASARAから現実離れしたエンタメ要素を除き史実を基軸に多少アレンジを加えたみたいなかんじ。著者のカラーなのかと思ったらどうもそういう編集側の方針だったよう。伊達政宗を題材にする場合はこちらのほうがむしろ良いのかも。本筋を邪魔しない部分でちょろっと挟まれる現代的コメディぽいノリもなんか好き。
作画の質は高く線が多いのが特徴ですがその雑然さが戦場の雰囲気に臨場感を持つ役割を担っているような。戦場の混沌描写や人物の紡ぐ言葉がいちいち印象的で。
1巻表記があるので続きもあるのかなー。著者の絵はかなり以前読んだタイトルより読みやすく洗練されていてうれしい。
堤芳貞
無頼コミックス1巻 / 松文館
ジャンル:青年・歴史ドラマ / 好み度:★★★★★