昭和30年代、ある青年が手に包丁を持ち血まみれの状態で警察に出頭する。しかしいざ取り調べとなると、黙秘を続け警察への嫌悪と不遜な態度を取る青年。青年が誰を殺したかもわからない状態で取り調べの対応に呼ばれたのは変わり種の刑事だった。
当時は(今もかもしれないが)取り調べでの被疑者の荒い対応が多かったと匂わせるエピソードが個人的に印象的でした。頑なに警察への不信感があるのに自分で出頭という矛盾とその理由とか、変わり種の刑事とのやりとりとか、当時としてはあー、ありそう、ってかんじ。横溝など昭和のミステリーを読んだことのある人だと物語自体に目新しさを感じづらいと思いますが、時代に即したサスペンスなのに現代らしいスタイリッシュな雰囲気が同居した安定したクオリティだと思います。
巻末には刑事の気質を表すのが主題のような、彼が関わったある事件を描いた短編が収録されています。
一時期電子書籍レンタル会社の広告でよく見かけていた時はBLだと思ってました。ごめんなさい。電子書籍のみで人気が出て後に紙の本で発行という経緯らしい。
善内美景
MFコミックスジーンシリーズ全1巻 / メディアファクトリー
ジャンル:少女・サスペンス / 好み度:★★★★★