ゲニウス・ロキ 異形建築家阿修羅帳控 田邊剛

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明治時代の著名な建築家であり妖怪画収集を行う伊東忠太が出会う建築物に関与する妖怪奇譚。
主人公のモデルは明治時代に実在した建築家・伊東忠太。西洋建築の流行すさまじく一辺倒だった当時、東洋建築に注目し独創的な建築を生んだ異才の人物。彼は建築家であると同時に妖怪の研究家でもあった。
そして生涯を掛け妖怪の絵や特質などを描きしたためた阿修羅帖という野帖を製作する。
実際、伊東忠太は妖怪好きで絵もかなり達者のよう。阿修羅帖は実在するかは不勉強なので不明ですが、作中ではそう記されています。
フィクション部分は件の野帖の作成過程。建築の仕事の依頼がらみなどで出会った妖怪を特殊な石を用いた手法で鎮め野帖に封印するというところ。いわゆる退魔もの(あるいはポ○モン)に近い内容ですが、主人公はそれを本業というより学術的研究のためとある個人的な感慨から行うという感じかな。
実在する建築家が主人公ゆえ、建築物がらみで顕現した妖怪と対峙というパターン。古い土地に新しいものを建てる際の災い、江戸時代の奇才が製作した五行の間から発生する妖怪、古い絵師が城の霊を鎮めるために描いた掛け軸、難破船の中の器物に宿っていたつくも神、そして主人公が阿修羅帖を作成するに到る理由でありせつないロマンスのエピソードで締めくくられています。
重厚な絵柄に明治の雰囲気が見事に表現され、妖怪ものとしても建築の薀蓄もいい温度で楽しめたタイトル。

田邊剛
リュウコミックス全1巻 / 徳間書店
ジャンル:青年・怪奇 / 好み度:★★★★☆