中東シリアのダマスカスの元野良で現在著者が飼っている猫のゴルムのお話。ゴルムの視点で描かれる世界と日常。
物語の始まりは著者が中東のシリア・ダマスカスに滞在していたころ。まじりっけなしの野良血統、母親と兄弟たちとともに暮らすとある子猫の見る世界が子猫の語り付きで描かれていきます。生い立ちの話とか、暮らしぶりの話とか、人間の話とか上から降ってくるごはんの話とか、神聖とされちやほやされる野良の白猫の話とか。
それから住処が整地され母猫とも兄弟ともばらばらになった子猫は紆余曲折の末とある人間に保護されることになります。その人間は、野良時代、上からご飯を落としたり、柵越しにご飯をくれたりした人間・・つまるところ著者なわけです。子猫はゴルムと名づけられ著者の家族の一員となります。
１巻目はゴルムと著者との出会いとダマスカスでの暮らしが描かれていますが以降は、さまざまな国を著者家族とともに飛ぶことになる、という流れになるようです。
フィクションですが、ゴルムの視点で描かれているためある程度のフィクションは入っているかな。ゴルムの語りは大人な口調で着眼点も鋭く、ゆえに周囲の状況がよくわかる仕様となっています。著者自身は脇役ながら、猫大好きのテンパッた行動がものすごくインパクトがありました。猫の暮らしがメインですが著者の当時の暮らしっぷりもネタに入っている模様。つくづく常識人気質の息子さんが大変そうだという印象も強い（笑）。あとゴルムの子猫時代の顔がめっさかわいいよー。
ヤマザキマリ
ワイドKCKISS全２巻 / 講談社
ジャンル：エッセイ・猫 / 好み度：★★★★☆