地上10メートルの檻から 三原ミツカズ

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TWO SWEETS ×××・カナリヤ・a Paradox of a Lion・NATURAL BORN SCISSORS・離婚式・what a wonderful world・天国と地獄・地上10メートルの檻から収録の短編集。
短いページだからかキレのある構成の物語が多かった印象。あと哀しいだけの終わり方ばかりでない話もあったのが良かった。
TWO SWEETS ×××はオープニング的な画面のノリ重視的な話。1コマじっくり見ると面白い。
カナリヤは声の美しいカナリヤを擬人化したぽい世界観。「歌を忘れたカナリヤ」の歌そのままの哀しくせつない話。
a Paradox of a Lionは人を喰らう種の女性が幼子を食べるために育てるけど情がうつっちゃう話。よくある話だけどじんとくる。
この3作は二色刷りな画面。過去のある時代の女性向けもしくは創作同人誌を思い出す画面構成だなあ。
NATURAL BORN SCISSORSは3人のカリスマ美容師と彼らに髪を切ってもらい人生再出発した人たちの3つの物語。苦悩や悶々としたものを抱える人の髪を切って新たな気持ちにさせるという。読後感良し。
離婚式は、うだつの上がらないパートナーとずるずる暮らす中で腐っていく自分に悩む女性は、離婚式という存在を知る。自分を改善したいパートナーに縋られ振りほどけなくて袋小路だった女性の仕切り直しの話。現実でも離婚式ってあるけどこちらのほうが先。山本耳かき店と同じパターンか。
what a wonderful worldは、アメージング系というか不思議系というかな構成。詩人・その詩人の彼女・ひきこもりの女性・天使・医師・・という立ち位置の人物たちの連鎖的モノローグ。どこまでが現実でどこまでが虚構なのか、不思議な感覚をうけるタイプの話。
天国と地獄は、仕事に追われる漫画家にやってきたのはゴスロリ服の家政婦、という話。創作に携わる職業の夢と望みと現実の乖離と苦悩をすっぱと一刀両断するメイド。真逆に見えて実は同じ。
地上10メートルの檻からは退廃感というか寂寥感が半端ない話でした。

三原ミツカズ
Feelコミックス全1巻 / 祥伝社
ジャンル:女性・ファンタジーほか / 好み度:★★★★☆