ソビエトの遺伝子操作研究で生み出された人間兵器の唯一の成功例である少女・ソーニャの逃亡劇。
冷戦時代の終焉へと進むベルリンの壁崩壊による混乱期、ソビエトの特殊な研究所から警備主任の老兵は、研究所で生み出された人間兵器の唯一の成功例である少女を連れて逃亡する。少女は物語のヒロインであり、老兵との逃亡生活から物語は始まる。
ヒロインの身体能力、特に反射速度が高く肉体がその速度に耐えうるために常人より体が重くなっている、ヒロインをめぐり各国の情報機関が彼らを追う現状、老兵は社会というか研究所の外という世界で生きるための知識を教える、など冒頭で必要な情報と過程を自然に描いているので物語に入りやすい。展開が非常に早く濃密な構成。1ページあたりのコマ数が多くかつ無駄がないから、また動きのあるコマと静止したコマのメリハリと言うか配置がうまいからなんだろうなと。著者の話はお色気系が多かったのもあり機会がなくほぼ初めて作品を読んだのだが、この構成の秀逸さを見るにさすが大御所の仕事だなと感じた。
冷戦時代のこういう逃亡劇の話は冷戦時代当時には良く見かけたが今読むとかえって新鮮ですね。質の高いアクションドラマを見たいならおすすめの作品。
弓月光
ヤングジャンプコミックスGJ2巻 ./ 集英社
ジャンル:青年・アクション・ドラマ / 好み度:★★★★☆