盗賊一味の跡目の采配を不服とし一味を出奔した若者２人による江戸時代劇版ハードボイルド。
ある男がスリの一味の一員からスリをやり一味に囚われる、その一方で一味の娘に近づき囚われた男に因縁があると告げる男も登場する、という冒頭のエピソードを経て主人公２人の本当の顔が明確にされる。そして主人公たちが今の立ち位置に在る経緯が語られ、現在に至るという展開。主人公２人は盗賊一味の頭目の死に水をとり、死に際の頭目が自分たちに一味を託したにも関わらず別の人間が跡目を継いだことを不服とし、一味を離れ旅立つ。
いわゆる相棒同士の旅物語、時代劇を舞台にしたハードボイルド活劇といったところ。
時代劇というとどうも泥臭さというイメージがあるのですが著者の感性ゆえかスタイリッシュな印象が強い,
さりとて時代劇の雰囲気とはかけはなれているというわけでもなく、というこのバランスが良い。映画を観るような流れるような構成が秀逸。気負わずに気がつけば物語に引き込まれているといった印象。
オノ・ナツメ
IKKIコミックス全７巻 / 小学館
ジャンル：青年・時代劇 / 好み度：★★★★☆