過去を巡る夢と混濁した記憶と変貌する人格。或る女性・朱美自身の睦言・彼女の奇妙な打ち明け話を聞く男たち。伊豆を舞台にした京極堂の物語。
髪の長いどこかいわくありげな雰囲気を持つ女性・朱美。彼女自身のおぼつかない記憶や過去の夢に苦しむ描写の後、京極堂に縁のある男性が別々に朱美と出会い朱美の打ち明け話を聞く彼らの視点の描写へと続く。
複数の過去の記憶の夢、元夫にまつわる錯綜する記憶、エピソードごとに印象が変わる朱美の人格。朱美の語る出来事は妄想か幻覚かそれとも事件か、という話かな。まあ事件なのでしょうが、どういうことなのかすごく気になる前フリ。
原作は未読なので1巻では把握しきれず、さりとてつまらなくはなくというか目が離せない展開に。緻密な原作とその魅力を描ききる作画担当の成せる技か。
魍魎1巻では最終ページにやっと出てきた京極堂は、今回は知人の回想でのみちらっと出てくるのみってのに苦笑。2巻目から本格的に本筋と関わってくる模様。
巻を進めるほどに引き込まれてその構成の緻密さに驚愕。やっぱりベストセラーになるだけあるなあと。
原作:京極夏彦 / 漫画:志水アキ
怪コミックス全5巻 / 角川書店
ジャンル:青年・ミステリ / 好み度:★★★★★