時は戦国、奥州の伊達家に生まれた利発な萩姫は父母の愛を受けのびのびと暮らしてた。しかしある日疱瘡にかかり命はとりとめたものの片目を失ってしまう。女の身では不憫と、娘を溺愛する父は姫を男として育てることにする。姫は梵天丸という新たな名を受け成長していく。
・・・ということで、梵天丸=伊達政宗が女の子という設定の戦国もの。
呂布子ちゃんみたいな女体化コメディではなく、物語自体はきちんと史実にのっとった堅実な内容。といっても本格的な戦国ものに比べ、コメディ要素はかなり多めだし時代考証は考えない方向で、なエピソードもけっこうあります。
政宗を女の子であるという設定と史実との間に生じる違和感が少ないのが特徴。というかむしろ女性だったからああいう史実になっていてもおかしくないのかとさえ感じる話運びが絶妙。
たとえば、政宗の弟・小次郎を跡継ぎにさせようとした母の考えと伊達のお家騒動、母親と政宗の微妙な関係といったところをうまく展開させているなあと。
シリアスとコメディとハートフルと戦国時代の人間模様と歴史モノ特有のわくわく感が絶妙に混在した秀作。とにかく話のテンポが良い!
萌え的タイトルだし勘違いする人多そうかなあ。萌えものじゃないのを残念と見るか、萌えモノだと思われるのを残念と見るか。まあ萌え要素がぜんぜんないわけぢゃないんですがね。
幕間にある4コママンガも面白く、登場する人物の説明も的確です。
しかし巻が進むにつれてちょっと女の子設定が苦しくなってきそうで心配・・・と思ったら直前でうまく終わらせたというかんじ。
関係ないですが、「梵天丸もかくありたい」って決め台詞、BASARA世代にわかるかな・・?
阿部川キネコ
バーズコミックス全5巻 /幻冬舎
ジャンル:少年・歴史 / 好み度:★★★★★