温和な気質が災いして用心棒の職にありつけない浪人は、
ひょんなことからある青年にに用心棒を依頼されるが・・。
主人公は勤めていた藩に暇を出され江戸に住む浪人。
頼りないという理由で用心棒など武士らしい職に就けないのだが、
実家が金が入り用で無心の手紙にほとほと困っていた。
そんな中、飄々とした町人の青年に用心棒の依頼を受ける。
実は青年は拐かしの一味だった。
浪人は拐かし一味の青年の佇まいに憧れを抱き、
青年のほうも浪人の剣の腕も含め興味を持つ。
浪人は知らず悪事の片棒を担いで悩むものの、
まとまった金が入り用なのと、一味の面子たちが意外にアットホームな雰囲気で、
江戸にひとりきりの浪人はそこに居心地の良さを感じたのもあって、
ずるずると拐かしの一味の輪に填まっていく。
主人公を始めとした各々の事情やそれに伴うドラマが展開される。
著者の特徴的な絵柄が時代劇という舞台設定と物語の雰囲気にとても合っているように思う。
このゆっくりともったりとしたノリと人物同士のやりとりは魅力がある。
また彼ら以外の登場人物もいい意味で味があり、時代劇の世界の人間模様が絶妙に編まれていく。
落とし所はどうなるのか気になるタイトルだった。
オノ・ナツメ
イッキコミックス全8巻 / 小学館
ジャンル:青年・時代劇 / 好み度:★★★☆☆