ダンジョン飯 九井諒子

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金子が心許なく携帯する食料代を節約するため狩ったモンスターを現場で調理して食べつつダンジョンに進む一行を描いたファンタジー探索グルメ?活劇。
大規模な階層ダンジョンがあり、様々な冒険者たちがダンジョンに潜り探索することが日常の世界。ダンジョンの深部でドラゴンに襲われ妹が喰われてしまった戦士の男性は、消化される前に妹を救うことを決める。しかしほうほうの体で逃げたため資金が乏しくパーティから脱退した者もいたが採算度外視でつきあってくれる仲間もおり、三人パーティで挑むことに。
で、戦士の男性は食料代を節約するため、探索途中で狩ったモンスターを食べることを提案する。モンスターを食べることに関して素人だけでは話が円滑に進みにくいためか、途中でモンスター料理を研究するドワーフが仲間に入り、モンスターを狩っては料理をする、というエピソードが主軸となっている。変則ファンタジーグルメというかサバイバルグルメというかゲテモノグルメというか。
架空のファンタジー世界観でモンスターが調理対象、なのだが某RPGのモンスターのように現実世界に似たモンスターが多く架空とはいえそれなりに既存の食材や調理による味覚に想像の余地があるところが素晴らしい。特に「動く鎧」の正体というか生態の設定は思わず巧い!とうなってしまうほど秀逸だった。
主人公の戦士は前々からモンスターを食べることに興味を抱いていたとか一歩間違えるとアレな設定もいい意味で生暖かい目で見れたり、未知の食材に拒否を示すごく当たり前の反応に思いっきり納得したり、ドワーフの研究熱心さと手際の良さに感嘆したりとどのエピソードもものすごく見応えがあった。
著者の話は前々から好きだったんだけど短編ばかりだったので長編はどうだろう・・とちょっと思っていたけど杞憂でしかなかったwめっちゃ面白い。墓まで持って行きたい傑作。

九井諒子
ビームコミックスハルタ1~ / エンターブレイン
ジャンル:青年・ファンタジー / 好み度:★★★★★