文豪夏目漱石の同名小説を現代風にアレンジしたタイトル。
純文学そして込み入った人間模様を描いた原作なのでこの漫画もまたしかり。現代に即したアレンジはあれど肝となる登場人物のやりとりなどは原作そのままです。
主人公の青年はひょんなことからひきこもりの中年と噂される「先生」と出会う。いくばくかの交流の後主人公の父が倒れ主人公は帰郷。そして「先生」からの手紙を受け取る。その手紙は先生の過去の出来事が書かれていた。
先生の過去、が本筋。先生と、彼の友人と、２人が下宿する大家の娘さんとの三角関係。なんというか見事。どちらの男性も一人の女性を好きになり、女性は自覚なく彼らを翻弄する描写が生々しいというかリアルというか。エゴイスムを鮮明に描いているなあと改めて思います。醜悪な部分を静謐に描いているなあとも。
中学生の頃原作を読みましたが登場人物を理解できなかったのを思い出したなあ。なんでそんなにドツボな状況になっちゃんたんだと；あと読み返すと、私（主人公）の先生への好意の度合いは尊敬とか敬愛の範疇を越えている気がするんですが・・。
夏目漱石×榎本ナリコ
ビッグコミックススペシャル全１巻 / 小学館
ジャンル：青年・ドラマ / 好み度：★★★☆☆