ピアノの恋人ppp 喜多尚江

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実力はあるのに本番に弱いピアニスト志望の高校生・道明と、元天才ピアニストで現在調律師の中学生・兼雅。ピアノと心を巡る青春物語。
実力はあるけどあがり症で本番に弱いピアニスト志望の道明は、家のピアノで半ば自棄気味に弾いていたところ同じ曲を弾くピアノの音に触発され誰が弾いているのか探し出す。弾き手は元天才ピアニストで絶対音感を持ちわけあって調律師をやっている少年・兼雅。なし崩しに知り合いになりぶつかり合い親しくなる2人。そして兼雅のキスであがり症が克服されてしまう道明。
飄々としてにっこり笑顔で道明に関わろうとする兼雅、兼雅をうっとうおしく感じつつも徐々に関わる道明。ちょっと違うけどくされ縁のような微妙な関係描写が新鮮でした。
ピアノ、音楽、音、人間関係とこんがらがった糸を紐解ききっちり結わえなおすようなそんなイメージを持つタイトルでした。ラストは正直ちょっと消化不良気味でしたがこれでいいのだとも感じたり。
ピアノの狂いは直すが人は少し狂っているほうがいい云々の台詞は兼雅の過去に関わっている模様。それにしても最後のエピソードに出てくるおにーさんはつらつらとあれだけ悪意のある言葉を並べられるなあと感心してしまいましたよ。あと兼雅の過去のエピソードはいまいちしっくりこないというかもうちょい味付けがほしかったかな。
それにしてもきちんとした理由付けがあるにしろ男同士でキスが物語の要になってるてのは時代を感じたなあ。あとさりげなく人間描写とか関係設定が生々しくなってるような(笑)
同時収録は平安の人と魔の悲恋(?)を描いた「約束の花」なんか雪女を思い出すお話でした。
もうひとつは異界巻き込まれファンタジー「空耳の森で」自分の名を呼ぶ謎の声の主は目を奪われた青年だった。短いページ数に冒険と恋愛が詰まったタイトルでした。

喜多尚江
花とゆめコミックス全3巻 / 白泉社
ジャンル:少女・ファンタジー / 好み度:★★★☆☆