鬼がふり返った刻 喜多尚江

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聖獣D / 鬼がふり返った刻 / 1999本当のこと/星はなんでも知っているを収録した著者の短編集。
「聖獣D」
泉に住む竜のDシリーズの内の1作。過去の悪さから泉に封印され100年に一度花が狂い咲きしたときだけ泉の外に出ることが出来る竜。竜が封印される前、平安の頃のお話。竜は不思議な力を持つ姫と出会いほのかな縁をはぐくんでいく、しかし時の朝廷の計略に巻き込まれ・・。人の業と悲しみと愛おしさが染みる御伽噺。姫の設定と竜の封印されたいきさつがうまいなあと思いました。
「鬼がふり返った刻」
Dシリーズの1作。聖獣Dで竜の友人として登場した酒呑童子に焦点をあてたお話。というか坂田金時と酒呑童子の逸話をなぞらえた話というべきか。金時の婚約者の紅葉姫はひょんなことから酒呑童子と出会い互いに淡い思いを抱く。童子は姫を連れ去るが・・。こちらも聖獣Dと同じパターンですがハッピーエンド、かな。
「1999本当のこと」
1999年世紀末に沸く日本。いわゆるノストラダムス世紀末な話。かつての創造者で破壊者である「恐怖の大王」は「人類代表」のごく普通の少年に最後の望みを問い、それを見つけた「恐怖の大王」を探し人類を守る「守護者」の少女。童話のようなコメディのような著者らしいフィジカルな雰囲気。人類を救う存在より人類を滅ぼす存在のほうが「いいやつ」なとことかオチとかなんか懐かしい。ファジーなオチも著者らしい。
「星はなんでも知っている」
「リピート」でも登場した魔法使いピー太を狂言回しに、「水」と男の子と女の子の不思議な話。水に好かれた女の子に恋する男の子、でも水が邪魔をするという構成。うまくまとまってます。

喜多尚江
花とゆめコミックス全1巻 / 白泉社
ジャンル:少女・ファンタジー / 好み度:★★★☆☆