時は江戸時代。手を触れずに物を破壊する能力を持つ青年が主人公。主人公は幼いころその特殊能力が原因となる出来事から天涯孤独で目的を持たない旅を続ける旅人で、彼が旅の途中で出会った人間との物語が1話完結形式で全4話収録されています。主人公は結構ハードは過去を持ちますが気質は粋な江戸っ子タイプというか明るく人懐っこいタイプ。旅を長く続けるための処世術であるかもしれませんが。
類は友を呼ぶというのか主人公のような常人にはない特殊能力を持つ人間が彼と関わるという展開。
マイノリティゆえの苦悩、悲哀、希望といった人間描写もきっちり描かれていて安定感のある内容です。サイコキネシスなどSFな設定がついていますが江戸時代の制度や文化、旅の常識などの時代考証はきちんとしていて幕間に馴染みのない言葉の説明が書かれています。
どの物語もハッピーエンドとは言いがたい〆ですが読後感は悪くありません。江戸時代という時代設定だからか、どこか教訓と人間の本質を突いた昔話のような印象を受けました。
山口美由紀
花とゆめコミックス全1巻 / 白泉社
ジャンル:少女・時代 / 好み度:★★★☆☆