政略結婚を拒み、エーゲ海の島から飛び出したアテナの巫女・スバル。自らが信仰するアテナ神の神託により、様々な神々が存在する世界に触れる彼女だが...。ティトゥス帝時代のローマを舞台にした、神と信仰の冒険ファンタジー。
神と呼ばれる存在と人が意志を疎通させる設定が妙に新鮮でしたね。今まで信じていた唯一のものに疑問を持った主人公スバルのとまどいと葛藤、登場人物の飾り気のない気質とその心情描写が見ごたえがありました。ヴェスピオ火山の噴火、ポンペイの悲劇の描写は圧巻。臨場感がありましたね。 私は信仰心の薄い典型的な日本人ですが、宗教を比較するのはけっこう面白いと感じる人間なのでその点でも楽しめる作品でした。
ローマからさらに東へ向かう...という続きのエピソードも予定されていたようですが、描かれないまま作者は角川から撤退?してしまいました。まあ、ストーリー的にはまとまっていて、これで終了としても違和感はないのですが...。
あもい潤
あすかコミックスデラックス/全4巻/角川書店
ジャンル:少女・神話ファンタジー/好み度:★★★★★