西暦2015年。世界規模の核戦争により人類の殆どが死滅し、生き残ったわずかな人々には絶望しかない時代。中近東・司会のそばに住む青年スティリコはマウリアという不思議な少女を拾う。少女にしか見えない彼女はスティリコの叔父・ダンの恋人だったと告げる......。
聖書という「物語」をモチーフにした近未来の物語。創世記に記されたソドムの伝説の当事者と主人公の関わり、主人公を含めた疲弊した世界に住む人々を通して、生と死というテーマが克明に描かれています。当時世紀末を主題にした作品は多々ありましたがそれらとは一線を画している印象を受けました。造詣の深さが感じられ、かつ独自の雰囲気が在るというかなんというか。物語としての聖書の作者なりの解釈が実に興味深かったです。 1999年の予言は外れたけどこちらはどうなるでしょうか。
同時収録の「WILDFIRE」は女の情念を描いたアメージングっぽい物語。「放課後の殺人者」はサスペンス(推理)風の少女漫画です。
厦門潤
カワデパーソナルコミックス全1巻/河出書房新社
ジャンル:ファンタジー・ミステリー/好み度:★★★★☆
同時収録作品:WILDFIRE/放課後の殺人者