表題作他、妖艶かつミステリアスな愛やひょんな出会いから芽生えるな愛を描いた7編の短編集。2010年に文庫版として再編集。
「モンストゥール・サクレ」「モンストゥール・サクレ2」
モンマルトルを舞台に美貌の男娼オリアンと、パリに配属になったばかりの警官・ビュルダンの物語。
妖艶な男娼オリアンと彼の身内に関する事件をきっかけに同性愛の恋愛が展開するというパターンでしょうか。ちなみにビュルダンは本来ノーマルの人です。サスペンス要素も入っていて、ただの恋愛ものでないところが面白かったですね。ツーリングEXP.シリーズで出演したウジューヌも出ています(ってこっちが初登場かも)。
「マロニエ」
パリ・モード界のトップデザイナーの専属男性モデルは艶を持つ魅力的な女性と出会う。女性は娼婦なのですが奔放でありプロであり自分の仕事が好きで自分の考えを持つ漢前なキャラがツボでした。
「メデューサ・リリー」
ヴァチカンの美しい青年司教と、殺し屋の青年が、国の各機関のトップの依頼でマフィアのボスを倒すという話。主人公の司教はターゲットの組織に父親を殺され、殺し屋の青年もボスに深い因縁があります。歪んでも愛は愛。
「ピュア・モルト」
アメリカから来た女子大生はスコットランドで出会った氏族の跡取りの青年のフィアンセを演じることになる。偽婚約者を演じることになったのは希少なスコッチ原酒を台無しにしたため。他作品と違って明るい話でした。ひょんな出会いから実はけっこう縁深い2人だったという話。典型的な少女漫画展開ですがこういうのはやっぱりツボです。
「グレイゴースト」
野心家で醜い王を演じることにつまづきを感じた美形俳優は奇妙な美少年と出会う。演じる役と同じく栄光と失墜を体験する青年俳優の物語。少年は青年が演じる王にゆかりの人間という心霊系ミステリ。
「ロワイヤル」
タイトルに反して舞台は日本。主人公の少女は蓮の花を神体とする神社の娘。修復中の社から出た歴史的価値が高くある秘密がある仏像をめぐる物語。仏教歴史ファンタジー要素が濃い短編。恋愛要素は少なめ。
河惣益巳
白泉社文庫全1巻 / 白泉社
ジャンル:少女・ロマン/好み度:★★★★☆
同時収録作品:ピュア・モルト/グレイ・ゴースト