地上とは別の世界「御獄界」では四天王と呼ばれる悪魔が入った4本の柱によって太陽を支えていたが母である下級淫魔のまりあの願いにより大悪魔柴は四天王を解放してしまう。太陽が落ちる前に四天王を連れ戻すため地上に降りた柴は、悪魔に絶大な力をもたらす体液を持つ「黄金律」の少年・湊と出会う...。
あらすじを読むとなんかシリアスっぽいですが、深刻なムードはほとんどありません。明るいというか軽いというか好き勝手にキャラが動いているというかなんと言うか。台詞やモノローグ、設定に作者の感性が光っています。普通の悪魔に肉親の情は理解できない云々のくだりを見て、そういえば経験していないことを判れというほうが無理な話だなあと納得してしまった記憶があります。
柴を含めた悪魔たちの魅力は善しにつけ悪しきにつけ自分の望みに忠実というところでしょうか。唯我独尊な性格の割りにけっこう甘いところがある柴の性格とか、神父と聖母の名を持つ女から生まれたのが大悪魔っつー設定とかがツボでしたね。あと柴の両親も個人的に好きだったり。女のしたたかさと母性愛を兼ね備えたちいさな悪魔のまりあ。柴の父親・竜の生き方は痛快で家族に対する愛情は理想的なお父さん像でしょう。
大陸書房版の巻末に収録されたWAIT FOR YOUは秋田書店版にも収録されているかは不明。
高河ゆん
アキタレディースコミックスDX全2巻/秋田書店
メヌエットコミックス全2巻/大陸書房
ジャンル:少女・ファンタジー・カルト/好み度:★★★★★
備考:大陸書房版は絶版
シリーズ番外編(大陸書房版1・2巻):WAIT FOR YOU前編・後編