女子高生・旭の家の前にうずくまっていたのは吸血鬼の少年ヒカトとその僕の蝙蝠。突然ヒカトに血を吸われた旭は、なしくずしにヒカトに血を与える「仮親」を押し付けられることとなる。
ヒカトが少年の姿なのは力が弱まっているためで、主人公の血はヒカトと相性が良く仮親という名の血液を補充する役割を担うことになるという展開。ヒカトの力が弱まるのは他の魔物が人間を食うために地上にやってこさせないよう血の結界を張るから、など、ヒカトは基本的に人間に好意的で、ただ生きるための糧を仮親から得ているわけではない設定。他にもこまごまと、よく言えば細やかに悪く言えばご都合主義的な吸血鬼側面の設定が多いかな。まあストーリーを展開させるのに必要な設定ばかりなのですが。
設定はファンタジーだし、ほのぼの愛らしい絵柄なのですが、物語自体は現実的というか恋愛・人間模様がしっかりと描かれています。主人公は当初嫌々でしたがヒカトの人と為りを知るにつけ徐々に理解し、互いに好意を持ち始める過程や、ヒカトに好意を寄せるライバルや対人関係のいざこざなど。ヒカトが日本にとどまる理由にからむシリアスなラストエピソードは印象的でした。ほのぼのだったりしんみりしたりと緩急をつけた構成が魅力。
天原ふおん
花とゆめコミックス全3巻 / 白泉社
ジャンル:少女・ファンタジー / 好み度:★★★☆☆