主人公の雪乃は刑事の父を持つ大家族で唯一の女性として家計を切り盛りする長女。そんな彼女の前に父親の隠し子?という無愛想な同級の少年智一が現れる。家族として受け入れようと奮戦する雪乃に、ある理由から周囲に壁を作っていた智一に変化が見られるという展開。
浪花節系人情ドラマな雰囲気を持つ一種の擬似家族+恋愛ものというところか。
周囲を拒絶する傾向にある智一と家族になったからには放っておけない主人公とが徐々に距離を縮めていく過程や、主人公も読者にも当初わからない伏線があり徐々にそれがわかっていくという構成が見所かな。
登場人物たちの感情表現の大仰さはちょっと古く感じることもありますが、見守る家族たちがいい意味で「大人」なため安心して読めるのも確か。
もちろん家族ものの要素だけでなく恋愛要素もきちんとあります。主人公のテンパッている心情描写が目立ちますが恋愛描写はロジックすぎるというかみんないい人すぎるきらいがあるかなー。
ステレオタイプなこう生ですが堅実なつくりの物語だなと感じるタイトルでした。
宗美智子
きらら16コミックス全5巻 / 秋田書店
ジャンル:少女・家族・恋愛ドラマ / 好み度:★★★☆☆