ツタンカーメンの墓を発掘したハワード・カーターを主人公にしたエジプト遺跡の発掘を巡るロマンとドラマ。
当初、LaLaで「封印」というタイトルで発表され、後にツタンカーメンと改題された作品。物語は1910年エジプト、遺跡発掘を夢見る考古局査察官のハワードが、トトメス4世が受けた預言と同じものを受けるエピソードから物語がはじまります。
エジプトの遺跡に魅了された生真面目な青年であるハワードは盗掘を陰で行う有力者の策謀にあうなど苦労の連続の後、スポンサーとなるカーナヴォン卿と出会い発掘を始めツタンカーメンの墓を見出す。ファラオの預言というオリエンタルファンタジーな要素を含んだ彼の伝記ものといったところか。
発掘に至るハワードや卿の行動の過程が実にじっくり描かれています。一見発掘と関係のなさそうなエピソードが延々と続くのですが、後にそれらは物語として全部つながっていたんだなあとわかる構成。読み終わってみれば納得できるのですが途中はやはり少々もやっとしたかな。
ファラオの預言や不思議な遺物などの不思議要素はありますが物語の現実的な流れを損なうことはなく、彼が墓を見つけるに至るための道しるべ的役割のようです。不思議エピソードを前面に出さずに物語にそっと寄り添わせているかんじ。
山岸凉子
潮漫画文庫全3巻 / 潮出版社
ジャンル:少女・歴史ファンタジー / 好み度:★★★☆☆